星野ヒカルの仮想通貨関連小説

初めまして星野ヒカルといいます。仮想通貨の可能性に惚れこみ自ら仮想通貨の投資をやりつつ仮想通貨を世の中に知らしめたいと思いこのブログを開設しました。

【仮想通貨関連小説】~ REGAIN 15 ~

 


十五


 11月も半ばを過ぎたこの頃、しかも深夜ともな

れば一段と寒くなるの普通の事なのだが、この人

気のないビルディングの建設現場の一角にあるプ

レハブ小屋の中だけは、異様ともいえる熱気に包

まれていた。

 

「ほら、早くこいつ裸にむいちゃいなよ」

 

 もう、いっときも待ち切れないとばかりに女子

高生が叫んでいる。由香里はと云えば、天井から

降ろされたロープで両手首を縛られて丁度バンザ

イをするような格好でつるされて目と口はガムテ

ープで塞がれたままだった。

 

「ベリッ」

 

眼に、張り付けてあったガムテープが乱暴に剥が

され由香里の視界はいきなり自由になり、おかげ

で見たくもない光景が見えて来た。長い時間、目

をつぶった状況だった眼球に視力が回復するのに

そう時間はかからなかった。音だけで想像してい

た通り女子高生が4人、男子高生が4人の計8人が自

分を取り囲むように立っているのが見えた。この

8人に、今から自分がどういう事をされるのかは想

像しなくても解っている由香里だった。

 

「じゃ、そろそろショータイムと行くか」

 

 あの、眼つきの悪い少年が右手に持ったナイフ

で由香里のTシャツをビリビリと切り裂きはじめ、

色白の素肌と意外に豊かな胸を隠しているブラジ

ャーが見えるとそこにいる男女全員が歓声を上げ

た。

 

「うわっ、こいつ痩せてるから貧乳かと思ってた

ら意外に胸大きいじゃん」

 

 女子高生の一人が言った。そうすると誰からと

もなく「ジーンズ,ジーンズ」と囃し立てる声が

上がった。その声に押されるように、眼つきの悪

い少年は、ナイフを投げ捨てると由香里のジー

ズのベルトを緩めジッパーを下げ、両端を握った。

そうして、一気に足元まで脱がすと、くびれた腰

や適度に肉の付いた太もも、純白のパンティーが

そこにいる全員の眼に飛びこんできた。たまらず、

由香里は周りの視線に耐えきれず目をつぶった。

羞恥で色白の躰は上気してほんのり桜色に変わっ

ている。負けん気の強い由香里だったが、さすが

に精神の限界にきていた。口惜しさで、なにかが

心の底からこみ上げ両方のつぶった瞼からにじみ

出る涙を止める術はなく、後から後からとめどな

く流れ頬を濡らしていた。普段から、あまり弱音

を吐かない由香里だったが此の時ばかりは、塞が

れている口から声は出せなかったが、胸の奥深く

誰かに届いて欲しいと心の中で叫んだ。

 

「誰でも良い助けて!お願い、お願い・・・」

 

 由香里の願いを無視する様に、少年の手は、パ

ンティを剥ぎ取ろうと手をのばした。しかし、そ

の刹那。プレハブ小屋のドアが烈しく開けられ、

野太い叫び声が凄まじく響き渡った。

 

「警察だ!お前たちを拉致監禁、暴行の現行犯で

逮捕する。逃げても無駄だ。この建物の周りは大

勢の警察官がすでに取り囲んでいる。おとなしく

出て来い!」

 

 そう、言われて最初は慌てたものの眼つきの悪

い少年の行動は素早かった。いきなりプレハブ小

屋の電気を消すと、ドアの外に立っていた刑事と

思われる男に体当たりして倒れたすきに、その脇

をすり抜け真っ暗闇の中を逃げ出して言った。そ

れをみていたほかの少年たちも女子高生も我先に

飛び出し、同じく闇の中に消えて行った。それを

見届けるように影に潜んでいたもう一人の男が出

て来た。

 

「田崎所長、上手くいきましたね」

 

 倒れている田崎に、手を差し出して起こしてや

りながら結城は言った。

 

「ああ、だけどグズグズはしてられないぞ奴ら俺

達の嘘に気付いて、また直ぐ戻って来ないとも限

らないからな」

 

 そう言うと、田崎は小さな懐中電灯をポケット

から取り出しプレハブ小屋に入った。結城も後に

続くプレハブ小屋の電気のスイッチをを結城が探

し当て、電気を付けようとした時だった。

 

「電気は、付けるな由香里をさらし者にでもする

つもりか?」


「あっ、そうかすいません」

 

 結城は、、自分のうかつさに気付いて頭を下げ

た。そうしてる間にも田崎は落ちていたナイフで

手際よくロープを切り由香里を床に横たえた。そ

して、自分の着ていた上着を由香里に掛けてやっ

た後、懐中電灯を結城に投げてよこした。

 

「そいつで、由香里の身の回りの品を探してくれ

身元がバレる様なものは残しちゃダメだからな」

 

 全て、探し終わると急いでその場を離れた。奴

等が戻って来るんじゃないかとヒヤヒヤ物だった

けど、幸いその前に逃げ出すことが出来た。由香

里さんは、僕がおんぶする格好で連れ出した。田

崎所長は、腰を痛めてるとかで僕がその役目を担

う事になった。逃げだすのが精一杯で、彼女に服

を着せる余裕は無かったので、田崎所長が着せ掛

けてあげた上着の下の彼女は、まだ下着姿のまま

だった。それで、おんぶしている両腕に、彼女の

体温の温もりが直接伝わってきている。それが、

僕にはとても愛おしいものに感じられた。


「由香里さん・・・」

 

 まだ、夜明けまでには間がある午前二時頃、11

月の寒風のせいか僕の背中の上で彼女の身体は小

刻みに震え、声は聞こえないが泣いているように

僕は感じた。あんな酷い目にあった直後だし、泣

くなと言う方が無理だと思う。そうこうしている

内に田崎所長がタクシーを拾った見たいで、こっ

ちに向って手招きをし大きな声で何か叫んでいた。

 

「行先は、何処でしょうか?」

 

 タクシーの運転手は、前を向いたまま聞いて来

た。目的地を告げる崎所長の声を聞きながら、

室内の暖房の温かい空気と、彼女を取り戻した安

堵感で猛烈な眠気に襲われた僕は、いつの間にか

眠ってしまった。

 

「お客さん、着きましたよ」

 

 運転手の声と、タクシーのドアが開くのが同時

でいきなり外の冷気が、侵入して来た。眠気はい

っきに吹っ飛び、いつのまにか寝ていた3人は、

夢の世界から放り出され、そして・・・

 

「そこの、男二人おとなしく車から降りなさい!

抵抗しても無駄だからな」

 

 そう、僕たちに言ったのは拳銃を構えた警察官

だった。タクシーは数人の警察官にすでに取り囲

まれている。僕達をのせたタクシーが着いたのは、

渋谷警察署の前だ。両手を上に上げ車から降りた

後、田崎所長がポツンと呟いた。

 

「こりゃ訳を、話すのに時間かかりそうだな」と、